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目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」

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いよいよ、今回はSDGsの最後に掲げられた、目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」についてです。

SDGsに掲げられた目標や課題は、一国や一機関、一組織の取り組みでは到底解決が望めないものばかりです。グローバルな連携や協力によって、世界中に遍在する資金や技術、人材などのリソースを、効果的に活用することが不可欠です。

具体的な取り組みとして、以下のような連携が図られてきてはいますが、より一層の連携・協力が必要になっています。

 政府間協力:各国政府が協力して、気候変動対策や貧困削減などの課題に取り組む。

 官民連携:企業やNGOが協力して、教育や保健医療などの分野で社会貢献活動を行う。

 市民社会との連携:地域社会や市民団体が協力して、環境保護や地域活性化などの活動を行う。

 国際機関との連携:国連や世界銀行などの国際機関が、開発途上国の支援を行う。

もちろん、これらすべての組織は、私たち一人ひとりの連携から派生していることは言うまでもありません。だからこそ、一人ひとりがSDGsの達成に向けて行動変容していくことも大切になってきます。


2019年に発生した新型コロナウイルス感染症(COVID19)は、パンデミックを引き起こして、世界中をパニックに陥れたのは記憶に新しいところです。このことで、医療に関することだけでなく、我々は多くの知見や気づきを得ました。

例えば、ウイルスを特定の地域に封じ込めることは、グローバル化が進んだ現代では到底無理なこと、ワクチンや医療設備などのリソースが世界中に遍在していること、また、リモートワークなどの今まで到底無理だと考えていたモノ・コトが、一定の条件を整えることで、いとも簡単に実現可能になることなどです。

これらをSDGsに置き換えてみると、温室効果ガスは特定の地域に封じ込めることはできないし、温暖化は世界中に影響しています。遠い国の熱帯雨林がなくなることが、世界中の気温上昇に影響を与えます。途上国の人々が飢餓から脱出する機会や教育、資金などは先進国が独占しているし、いまだに化石燃料に頼った開発が続けられています。まるで、100年後に生きる私たちの子孫のことなどお構いなしのようにも見えます。

また、CIVID19を別の側面から見ると、Co2削減、化石燃料の温存など、環境面ではプラスに作用しました。世界中で飛行機や電車は減便し、旅行などの活動自粛は、一方で経済を大きく停滞させ、新たな社会問題を多く引き起こしてしまいました。飲食店やホテルなどでは売上は大きく下がり、特に中小企業、個人事業主は経営が悪化しました。働く従業員は職を失い、新たな経済的困窮を産みました。当時休校となり学校へ通えない子ども達の中には、外に出られない、友達と会えないストレスから精神的に病んでしまう子もいました。

つまりSDGsの採択文書であるTransforming Our World-我々の世界を変革する-」で謳っているように、環境、社会、経済の"どれか一つ"ではなく、すべての好循環がなければ、この世界は持続できないということです。


だからこそ、国レベルの協力によって成し遂げられること、また企業や自治体などの組織レベルの協力やNPOなど市民の参加によって実現できることなど、それぞれの組織が得意とする領域を重ね合わせる中で、社会課題を解決するためのイノベーションが生まれます。そして何より、私たち一人ひとりの個人レベルにおける行動変容が求められています。「私一人が何をやったところで何も変わらない」と安易に考えて、何もしなければ、当然何も起こりません。個人が起こす行動はほんの小さなものですが、その行動が波紋を生み、それが重なり合い、やがて周囲を巻き込み、変化を促す渦となり、やがて大きな社会的インパクトをもたらします。


歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏は「サピエンス全史 ―文明の構造と人類の幸福―」の中で、私たち人類=ホモ・サピエンスの言語の比類ない特徴は"まったく存在しないものについての情報を伝達する能力だ"といっていて、さらに、神話や虚構を想像するだけでなく、"大勢で柔軟に協力するという空前の能力"を与えられたといっています。つまり、100年後の世界や日本を想像することや、危機に瀕している地球を未来に蘇らせる方法、貧困や飢餓、あるいはジェンダー問題や排外主義に苦しむ人々を救う方策などを考えて、協力して、実行するのは、私たち人間にしかできないし、だからこそ私たちの手でやらなければならないということです。


SDGsの目標を達成して、持続可能な社会を構築するために、もっとも必要なことはパートナーシップ=協力することです。

 
 
 

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