きょうからパグウォッシュ会議世界大会
- Shuichi Yamamoto
- 11月1日
- 読了時間: 3分
今日11月1日から5日まで、被爆から80年を迎えた広島でパグウォッシュ会議世界大会が開催されます。
このパグウォッシュ会議というのは、パグウォッシュ会議発足の足掛かりになった「ラッセル・アインシュタイン宣言」を基に、核兵器廃絶を目指す科学者たちが、1967年にカナダ・パグウォッシュ村で第1回世界大会が開催されました。この時の同大会には日本から湯川秀樹博士と朝永振一郎博士、小川岩雄助教授の3人や米ソ両国をはじめとした各国の著名な科学者たち計22人が参加し、東西の枠組みを超えて、核問題や科学者の社会的責任を議論し、科学的立場から核実験中止などを求める声明を発表しました。

63回目を迎える今回の大会は、広島では3回目、コロナウイルス禍などを経て、2017年のカザフスタン大会以来8年ぶりの開催となります。
テーマは「被爆から80年―今こそ平和、対話と核軍縮を」を掲げて、38カ国・地域の科学者や政府関係者たち約150人が集い、核問題や中東情勢について議論することが予定されています。
多くのセッションの中には、昨年ノーベル平和賞を受賞した日本被団協をはじめ、「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」、パグウォッシュ会議、核戦争防止国際医師会議(IPPNW)のノーベル平和賞受賞4団体によるパネル討論や、イスラエルのオルメルト元首相とパレスチナ自治政府のアルキドワ元外相が和平プロセスの将来についての対話など、注目のプログラムも予定されています。
ほぼ半数のセッションが非公開になっているようですが、これは参加者が国や政府の代表としてではなく、個人として本音をぶつけ合い、新しいアイデアやネットワークを育む場にしたいという理由からだそうです。
一方、現実の世界に目を向けると、北朝鮮などの新たな核兵器開発は止まらず、最近の米・トランプ大統領の核実験に対する発言などを聞くにつけ、核兵器廃絶に対する逆風が強まっているようにも感じます。
また、歴史学者・ユヴァル・ノア・ハラリ氏が2016年に著した「ホモ・デウス」の冒頭で、人類が誕生以来克服できなかった3つの問題、飢饉と疫病と戦争を、21世紀に克服しつつあると書いています。でも、それから10年を経た2025年の世界では、ウクライナで続く戦争やガザの荒廃を見るにつけ、新しいアイデアやネットワークの構築など、まだまだ忍耐と努力が必要なようです。
最終日には、広島開催の成果として「広島宣言」が発表される予定ですが、SDGsに逆行する最大の環境破壊につながる戦争、そして人類のみならず、地球に壊滅的影響を与えるであろう核兵器の廃絶に向けて、強いメッセージが発表されることを望みます。





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