COP30 閉幕
- Shuichi Yamamoto
- 11月24日
- 読了時間: 3分

11月10日からブラジルのアマゾン川河口の都市ベレンで開催されていた「国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)」が、予定されていた21日までの会期を延長して、22日に合意文書を採択して閉幕しました。
2年前、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで行われたCOP28での合意を踏まえて、温室効果ガスの削減や化石燃料への対応に関する踏み込んだ計画を盛り込んだ脱化石燃料に向けた「ロードマップ」を含む具体的な構想について、コロンビア、パナマ、ウルグアイや英国、フランスなどを含む80カ国以上が支持しましたが、サウジアラビアやロシアを含む産油国や化石燃料を多用する国の強い反対により、合意に至らなかったようです。
また、もう一つの主要争点だった森林破壊についても、明確な約束までには至らず、一般的な合意で妥協せざるを得なかったようです。
合意文書採択後、コロンビアの交渉担当者は、化石燃料が温室効果ガス排出の最大の要因だと指摘し、「科学を無視した合意には同意できない」と非難していますし、欧州連合(EU)も協議の末、最終合意を妨げないことで合意したものの、結論そのものには賛同しないと表明しました。 議長国ブラジルは、化石燃料と森林保護に関する合意が得られなかったため、交渉期限の21日を過ぎても協議が続けられましたが、22日の朝にこれらを主要合意から除外して、補足文書として公表すると発表するとともに、各国に対しては、引き続きこれらの課題について議論を続けるよう要請しました。
もちろん、合意文書の内容がネガティブなことばかりではなく、比較的豊かな国が、気候に脆弱な国の気候変動による災害に備えるための「適応資金」を2035年までに少なくとも3倍に増やす方針で合意できたことや、「公正な移行」に向けた計画も盛り込まれました。これは世界が化石燃料から移行する際、そうした産業に従事している労働者も取り残すことは許されず、よりクリーンな職業への転職を支援する必要があるとの考え方です。ただ、そのための具体的な資金拠出には言及できなかったようです。
今年は第2次世界大戦後80年の節目に当たりますが、この間世界は国連を中心に、多くの問題を多国間で協力して解決していこうと会話を進めてきました。その結果、飢餓や疫病や戦争など、人類の存続を脅かすような問題を目覚ましいスピードで減少させてきました。もちろん、そのために科学技術の発展は欠かせなかったわけですが、その裏で気候変動などのマイナス要素も進行してしまいました。
気候には国境がなく、その影響は一国だけでは食い止めることができません。今後のCOPにおいても、自国のエゴを捨てて、各国が地球市民として真摯な協議がなされるよう願います。




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