持続可能な開発報告書2025
- Shuichi Yamamoto
- 6月25日
- 読了時間: 4分
昨日、6月24日にSDSN(国連持続可能な開発ソリューションネットワーク)より、持続可能な開発報告書2025(SDR)が公開されました。
今年の報告書は、SDSNのイニシアチブであるSDGトランスフォーメーションセンターの独立した専門家グループによって執筆されたようです。

今回の報告書のなかで、以下に示す8つのメッセージが強調されています。
1.世界中の国々がSDGsにコミットメントしており、193カ国中190カ国が持続
可能な開発を推進するための国家行動計画を発表しています。その190カ国
すべてが自発的国別レビュー(VNR)プロセスに参加し、自国のSDG実施計画
と持続可能な開発の優先事項を国際社会に提示しています。
今や、VNRプロセスに参加していない国連加盟国は、ハイチ、ミャンマー、
米国の3カ国のみになっています。
2.東アジア・南アジアは、2015年以降、SDG達成の進捗において他のすべての
地域を上回って、最も速い進捗を示しています。
3.他国と比較して、SDGsを急速に進歩させた国としては、ベナン、ネパール、
ペルー、アラブ首長国連邦、ウズベキスタン、コスタリカ、サウジアラビアな
どが挙げられます。
4.ヨーロッパ諸国は引き続きSDG指数で上位を占めていて、フィンランドは今
年1位となりました。上位20カ国のうち19カ国がヨーロッパ諸国です。しか
し、これらの国々でさえ、気候変動や生物多様性に関連する目標を含む、少な
くとも2つの目標の達成には大きな課題を抱えています。
5.世界平均で見ると、SDGsは大きく軌道から外れています。世界レベルでは、
17の目標のうち、2030年までに達成できる見込みのものは一つもありませ
ん。世界全体で達成見込みの目標はわずか17%ですが、その一方で、国連加
盟国の大半は、モバイルブロードバンドの利用(SDG 9)、電力へのアクセス
(SDG 7)、インターネットの利用(SDG 9)、5歳未満児死亡率(SDG 3)、新生
児死亡率(SDG 3)など、基本的なサービスとインフラへのアクセスに関する目
標において大きな進展を遂げています。
6.国連を基盤とした多国間主義において、バルバドスは1位、米国は最下位にラ
ンクされています。米国は2025年初頭、パリ協定と世界保健機関(WHO)から
の脱退を発表し、SDGsと2030アジェンダへの反対を正式に表明しました。
7.多くの発展途上国にとって、財政余地不足はSDGs達成への大きな障害となっ
ています。世界人口の約半数は、持続可能な開発に十分な投資ができない国に
住んでいます。
8.持続可能な開発は高いリターンをもたらすため、資本は新興国・発展途上国に
より有利な条件で流入すべきです。ところが国際金融アーキテクチャー(GFA)
は機能不全に陥っていて、資金は富裕国に容易に流入し、より高い成長ポテン
シャルとリターン率を持つ新興国・発展途上国(EMDE)には流入していません
2025年6月30日から7月3日までスペインのセビリアで開催予定の第4回開発
資金国際会議(FfD4)は、GFAを改革し、EMDEへの資本流入額を大幅に増や
す必要があります。

日本は、今回の「持続可能な開発報告書2025」において、スコア:80.7、ランキングは167カ国中19位でした。
ただし、目標達成しているのは目標3「すべての人に健康と福祉を」ひとつだけでした。反対に、重大な課題を残していると評価されたのは、目標2「飢餓をゼロに」、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」、目標12「つくる責任 つかう責任」、目標13「気候変動に具体的な対策を」、目標14「海の豊かさを守ろう」、目標15「陸の豊かさも守ろう」の6つでした。
目標5については、国会における女性議員数や男女の賃金格差について、厳しい評価を受けています。
目標12については、電子機器やプラスチックなどの廃棄物について重大な課題が指摘されています。
目標13・14については、輸入の際に排出される温室効果ガスや生物多様性への脅威が指摘されています。
Comments